【平成の名曲】15位 『今夜はブギー・バック』 小沢健二 featuring スチャダラパー 平成6年
平成の名曲ランキング。
今日ご紹介するのは、オザケンこと小沢健二さんがニュースステーションにゲスト出演した際に、あの小宮悦子さんが「空から音が舞い降りてきた」と絶賛した曲ですね。
↓OzawaKenjiVEVOより↓
小沢健二 featuring スチャダラパー - 今夜はブギー・バック(nice vocal)
平成初期を代表する曲
小沢健二さんとスチャダラパーのBOSEさんは、当時同じマンションに在住しており、それが縁で生まれた曲だと伝えられています。サウンド的には(おそらく)Nice & Smoothの『CAKE & EAT IT TOO』を下敷きにして作られておりまして、
Nice & Smooth Cake and eat it too
そこにメロディアスな小沢パートと、リズミカルなスチャダラパートが、実に上手く乗せられています。
歌詞においても、この頃のクラブシーンの人間模様というものを、これまた実に巧みに切り取っておりまして、その時代性とも相合わさり「平成初期を代表する佳曲」だと深く感じさせてくれるのです。
渋谷系とは?
そして彼らは「渋谷系」と言われるジャンルに組み込まれておりました。彼らの他の有名どころを挙げますと「元相棒のコーネリアス」や、その相棒の彼女だった「カヒミカリイ」。小西康陽率いる「ピチカートファイブ」。あとは「カジヒデキ」や「オリジナルラブ」や「東京スカパラダイスオーケストラ」と言ったところですね。
「東京が世界で最もカッコよくなった時代(野宮氏)」
今でいうと「サカナクション」や「Suchmos」なんかが渋谷系に当てはまりそうですね。そういえばSuchmosのYONCEは、この「今夜はブギーバック」を、BEEMS40周年記念MVにおいてカヴァーしていたりします。
BEAMS40周年記念『今夜はブギー・バック』で観るTOKYO CULTURE STORY/BEAMS40周年記念動画『今夜はブギー・バック』MV
渋谷系の定義
実のところ「渋谷系」の定義はかなり曖昧なものなのです。多少強引に当てはめれば、それはバブル期の(イカ天に代表される)「ホコテンロック」というものに対して、それを良しとしない「洋楽派の若者」たちが発した「カウンターカルチャー」だったと僕は思っています。その上で、とどのつまりは『なんだか渋谷っぽいお洒落な音楽が渋谷系』ということですね。たぶん。
PIZICATO FIVE公式より
PIZZICATO FIVE / ベイビィ・ポータブル・ロック
その上で、そのムーブメントが実際に「渋谷系」と呼ばれるようになったのは、平成3年の「フリッパーズギター解散」の頃からでした。要は個性的な彼らが枝分かれしたからこそ、渋谷系がジャンルとして成立する事となったという感じですね。
それゆえに、逆を言えば「渋谷系の大本」は「スリッパーズギター」だったという事にもなるのですが・・・今にして思えば、1990年という、あんな「イカ天全盛」のバブルな時代に、なぜ彼等がすんなりデビューできたのかという疑問が沸きあがってきます。
渋谷系の母
彼らは当時の「売れセン」とは全く異なる存在でした。さらには彼らが発表したデビューアルバムが全編英語歌詞というのも、当時の常識ではあり得ない事だったのです。じゃあなぜなんだと・・・実のところそれは
『Winkの思わぬブレイクで大もうけしたレコード会社が、遊び心でフリッパーズギターに投資したから』
なのだそうです。いやはや『渋谷系の母はWinkだった』というのは、なかなか驚きの事実というか、大変不思議な感じがしますよね。これぞまさに事実は小説より奇なりというか・・・
若い世代の空虚感
平成6年は日本経済が完全に敗北を自覚した時期です。
この曲の発売日は平成6年の3月9日なので、ちょうどコロマロの大学卒業のころなんですね。うっかり大学を追い出され、コロマロ自身も途方に暮れている時期でした。
そんなわけでポジティブな歌詞に対して、あまりにも内省的なメロディライン。そしてオザケンの淡々とした、どこにも行く宛てのない歌声。
この曲はあの頃の若い世代の空虚感そのもののようにも感じます。
多彩なカヴァーバージョン
人気の楽曲なだけあって、様々な人がカヴァーしております。
宇多田ヒカル
※「AUTOMATIC」に続いて歌われます。
kreva
ゼロ年代風ですね。
加藤ミリヤ
小山田圭吾!
正に極めつけという感じですね。
カヴァーした小山田圭吾さん曰く「最近小沢がバッシングされているから応援の気持ちを込めてw」「絶対面白いと思ったからw」とのこと。要は悪ノリですね。
フリッパーズ解散以後、小山田さんの方は小沢さんの名前を折々に出してるのですが、一方の小沢さんはと言うと、小山田さんへの言及が一切なしなのです。その辺に、パーフリが解散に至った「両者のスタンス」のようなものが見える気がしますね。
最近の小沢さん
21世紀に入ってからはアメリカに生活の場を移してしまい、すっかりご無沙汰になってしまった小沢さんですが、2016年に突然、ほぼ20年ぶりのシングルである「流動体について」と発表しました。
その後はMステに出演したり、SEKAI NO OWARIとコラボレーションするなど、日本での活動を本格的に再開させています。そしてデビュー30周年に当たる今年は、久しぶりのニューアルバム『So kakkoii 宇宙』をリリースするなど、さらに活躍の場を広げております。
Amazonのリンクです。ジャケット写真は息子さんとの事。
既に25年前の『LIFE』を超える傑作との声も出ている『So kakkoii 宇宙』。強力なアルバムをひっさげた、これからの小沢さんの活躍に期待したいですね。
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