ころまろ☆辛口エンタメ塾

毒舌ネットコメンテーターのサブカル話。たまに愛。

【平成元年の今頃の話(最終回)】「山下埠頭のSlipping Away」

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※ここは常に30年前の話をするカテゴリイです

 

大晦日という事で「令和元年に語る平成元年の話」も最終回になります。まあ「最終回」と言っても、僕の「30年前の振り返り」は今後も続いていくわけですが。

 

  

12人宿泊

 

平成元年のクリスマスウィークエンドは、2泊3日の「新兼荘の誰でも来い祭り」となりました。まあ祭りと言っても、ほぼ「ルパン三世パート2」のビデオをみんなで見ていただけなんですが・・・

 


 

その間、入れ代わり立ち代わり、延べ参加人数は20人くらいになりまして(過激派のアジトかよ)、そのなかでも実際に宿泊したのは初日の12人がMAXでした。

 

新兼荘の宿泊記録は前の主の持つ14人ですので、この時は惜しくも記録に届かずでした。しかしこの4畳半一間の「押し入れに入って向かいに体育座りする」のが「一番居心地がいい」という窮屈な状況で(たとえ新宿の巨人ジュンタがいたとはいえ)、あと二人泊ることが出来たというのは、どうにも信じられませんでしたね。

 

リア充イケさん登場

 

嵐のような二日間が終わり、日曜の夕方。最後まで残っていたヤマカワ軍団を見送った僕は、よろよろと新兼荘に戻り、一人タバコをふかしていました。

 

「いやあ凄かったなあ・・・みんなモテないよなあ」

 

しかしその一本も吸い終えないうちに、新兼荘のドアが乱暴に開きました。

「ツノダ!今晩遊びにいかないか!」

そこに立っていたのは、僕らのグループのリーダー格のイケさんでした。イケさんは一つ年上の九州男児で、背も高く、正にリーダー格という感じの男でした。

 

「イケさんは解らないだろうけど、今日はもう疲れ果てているんだよ。いまからもう貝のように眠りたい。そもそも今週末の新兼荘は『幸せな奴』は入室禁止だよ」

 

イケさんがクリスマスウィークエンドに彼女と遊びに行ったと聞いていた僕は、彼を冷た~くあしらいました。するとイケさんは

 

「実は明日までクルマを借りているんだよ。ドライブにでも行こうぜ」

「え!そうなの!助手席ならいくいく!」

「調子のいいやつだなあ~ じゃあサトー達を連れて夜にまた来るよ」

 

 

ローリング族

 

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夜になってイケさんは青いセドリックで、サトーとイチモトとイワピーを連れて登場しました。僕以外、どうやらみんなリア充だったようです・・・まあそれはさておき、

 

「湖の周りをドリフトして走るのが流行っているんだよ。俺たちも行かないか?」

 

異存はありません。途中のコンビニで500円に値下げされたクリスマスケーキを二つ買いこみ、僕らは多摩湖に向かいました。

 

多摩湖につくと、そこはもう年の瀬というのに「車オタク」で超盛り上がっておりました。カーブにはギャラリーがカメラを持って待ち構えていて、車が通るたびフラッシュがバシャバシャ炊かれます

 

イケさんはハタチの浪人生とは思えないハンドルさばきで、ワインディングをドリフトしながら走って行きます。フラッシュ浴びまくり。サトーはもう大喜びです。

 

「いけいけー イケさん いけいけー!」

 

しばらくするとイケさんは飽きたのか僕に聞いてきました。

「ツノダはどっか行きたいところある?」

その時点でたぶん深夜の2時くらいだったと思います。地理的なことが全く分からなかった僕は思い付きで

 

「海がいいな。横浜ベイブリッジが観たい!観たい!」

 

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とテキトーに言いました。当時、横浜ベイブリッジは出来立てのほやほやで、一番のホットスポットだったのです。

「遠いよー!でもまあツノダには世話になっているからなあ・・・じゃあ行こうか」

イケさんは16号を爆走しました。

 

 

「イケさん、そういえばイブはどうだったの?」
「実はフラれたんだよ。だから車が空いてるの」

 

 

 

Slipping Away

 

カーステレオではローリングストーンズのニューアルバムである「スティールホイールズ」がヘビロテされておりました。ストーンズ仲間であるミドリちゃんにサトーがダビングしてもらったものです。リアルタイムストーンズであるこのアルバムは本当に素晴らしかったですね。

 

横浜の「横浜博跡地」(現みなとみらい)を抜け、山下埠頭に侵入していくときに、ちょうど「スティールホイールズ」のラストナンバーである「Slipping Away」がカーステから流れました。

 


Slipping Away - The Rolling Stones (remastered)

 

ギターのキースがリードボーカルを取るこのバラードは、この時のシチュエーションに、あまりにもハマりまくりでありまして、それまで騒いでいた僕らの胸に、ジーンと深くしみ込んできました。イケさんは埠頭をゆっくりと移動し、海の前に車を止めました。

 

「ヤラレタ・・・やっぱキースも半端ねえ・・・」

 

サトーは眼前にそびえたつ横浜ベイブリッジを見上げつつ、そうつぶやきました。

 

 

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その後、出勤に急ぐサラリーマンたちと「信号機ゼロヨンダッシュ」をしながら、僕らは新宿に向かいました。

「チクショー!やっぱり5人は重いよ!」

夜はすっかり明けています。そんな白々とした東京砂漠の先に、西新宿のビル街が小さく見えてきました。僕はそれを助手席から観つつ、

 

『新宿のビル街をみて「帰ってきた~」なんてホッとするやつはそうはいないだろうな』

 

と感じていました。

 

 

僕の平成元年はそんな風に過ぎていきました。かつてないほどの(そしてその後も無いほどの)胸いっぱいの一年間でした。

 

年が明けたら入学試験も本格的に始まります。特に地方の私大受験のやつらとはお別れが迫ってきています。そもそも僕も年明けすぐにセンター試験を受けなければいけないのです。

 

「年が明けたら、だんだんとみんなとお別れなんだな」

 

でも・・・

でも、それは意外と早くやってきたのです。

 

(「令和元年に語る平成元年の今頃の話」おわり)


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