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売れない彫刻家のサブカル自慢話

【イケメンは家もイケメン】令和2年に語る平成2年の今頃の話その16

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※ここは常に30年前の今頃を語るカテゴリイです


30年前の今頃(平成二年、1990年)の話ですね。平成元年春に美術予備校に通う為に上京した僕は、一年の浪人生活を経て、いよいよ受験に突入しました。

 

 

侮れない学科

まず最初にムサビの試験が始まりました。ムサビの学科試験は各科とも同日開催でしたので、油絵からデザイン工芸に至るまで、それも芸大、私大系関わらず、ほとんどすべての予備校の生徒が、この同じ日の学科試験に参加する事になっていたのです。

そして美大と言っても、当時のムサビ受験の採点配分は「実技300点+国語英語200点=500点満点」というものでありまして、芸大やタマビに比べ、学科重視傾向にある学校でした。だから当然のことながら学科というものは侮れないものだったのです。

とはいえ現役のころのムサビの学科試験の難易度を思い出し「遅刻さえしなきゃ楽勝だな」と感じておりました。そしてそうであるがゆえ、独り暮らしの僕にとって一番怖いのは遅刻なのでした(電話もないから余計に)。

しかしながら、上記のように学科重視傾向であるがゆえ、今回は少し前の「センター試験前夜」のような「どんちゃん騒ぎリターンズ」はご勘弁という思いもあったのです。それゆえに僕は悶々としておりました。すると、そんな僕に気が付いたのか、あのイケメンミズキ(芸大系デザインコースに通っていた超イケメン男。性格も良い)が、

 

「俺の家からムサビは結構近いから、良かったら学科の前の日に泊って行かないか?」

と提案してきたのです。

 

「え!いいのかよ!実家だろ?」

 

「ああ、実は母親からの提案なんだよ。『いつも泊まらせてもらっているんでしょ』だってさ。」

 

「おお~、ありがたや~」

 

 

豪邸ミズキ邸

イケメンミズキの住んでいる街は、いわゆる「ベッドタウン」というべき街であり、まるで「金曜日には花を買って」のOPのような、まさに金持ちオーラ全開の住宅街が続いておりました。

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ミズキ邸はその住宅街の角にありました。敷地は他の家の1.5倍くらいあり、外観からして「注文住宅感」が半端なかったのです。

 

広大なリヴィング

ミズキ邸に入り、僕はそのリヴィングルームの広さに圧倒されました。新兼荘が丸ごと入ってしまいそうな広さと言いますか・・・そしてそこに置かれた広大なテーブルの上には、雑誌の「カーグラフィック」や、あからさまに高性能&高品質&高価格であろう「双眼鏡」や、デザイン性が凄すぎて、もはや何が何だかわからない「チェス」などが置かれておりました。

僕がまごまごしているとミズキは椅子にドカッと座り「ツノダ(コロマロの本名)も座ってタバコでも吸えよ」とマルボロを勧めてくれました

自宅にアクアリウム

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ミズキ邸は、当時珍しかったカウンター方式のオープンキッチンになっておりました。そしてそのカウンター部分には、なんともオシャレなことに熱帯魚の水槽が埋め込まれていたのです。そこではわりと大きめの魚も優雅に泳いでおります。僕はどういう仕組みなのか一生懸命見ましたが、さっぱり解りませんでした。

そんなわけで僕はそこで「南青山の会員制バー」にいるような気分で美味しい夕食を頂いたのです。

湯船の無い浴室

お風呂を頂きにバスルームへ行きますと、そこのあるはずの湯船がありません。

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そうです、ミズキ邸の湯船はプールのように床に埋まっている方式だったのです。なんというオサレなお風呂場なのでしょう。あの忌々しい「第2良の湯」とは大違いです。僕はブルジョワ気分でのんびりお湯につかりました。

 

ミズキと語る

その夜はイケメンミズキと語り明かしました。思えば一対一でじっくり話すのはそれが初めてだったように思います。

「父親が建築家で母親がデザイナーだって、もう講師たちも知ってるからさ・・・サラブレットとか言われて面倒だよ」

「ああ、解る気がするよ。でも悪くはない面もあるだろ?」

「確かにそれはそうだね」

イケメンミズキは部屋もイケメンでした。そして彼の高校時代のサッカーの写真などを見せてもらいながら(当然、イケメン)、僕は久々に広々としたスぺ-スで眠りについたのでした。

 

バードウォッチング

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翌朝、朝食を頂きにリヴィングに降りた僕は、昨晩とは全く異なる光景に驚きました。

昨夜は見えなかったミズキ邸のリヴィングの広大な窓の外は、こじんまりとした林になっておりまして、そこには冬の可愛らしい小鳥がチュンチュンさえずっていたのです。

「そうか、ここはバードウォッチルームでもあるんだ!」

僕は『世の中にはこんなにオサレな家があるんだなあ。デザイナーって凄いなあ』と思いつつ、ボロが出ないように、ミズキの様子をうかがいながら、ナイフでバターをパンにつけました。そしてカフェオレをいただきます。

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そうです。僕が長年追い求めていた『ネスカフェのCMの世界』はここにあったのです。

 

試験

ミズキのお母さんにお弁当まで作ってもらい(ありがたや)、僕らは学科試験に向かいました。そしてムサビ構内でがっちりと握手してそれぞれの試験場に向かいました。

ーーーーー

そんなわけで・・・一年ぶりのムサビの学科は相変わらず簡単でした。しかしながら僕はそれを一年前のように解くことはできなかったのです。予備校で配っていた回答で採点してみましたが、前年よりもおそらく20~30点はマイナスでした。

 

「まあしょうがないな」

 

僕はそう思いました。そう、自分の日ごろの行いを振り返れば、それは全く以ってしょうがなかったのです。

 

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