ころまろ☆辛口エンタメ塾

毒舌ネットコメンテーターのサブカル話。たまに愛。

【平成2年の今頃の話22】極悪同盟の芸大入試〜愛よ消えないで〜

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※ここは常に30年前の話をするスレッドです

 

小動物との戯れ

 

30年前の平成2年の3月の某日。

いよいよ芸大入試が始まりました。彫刻科の実技試験は石膏デッサンです。これでほとんどの人間がふるいにかけられて、実質2倍にまで受験者は絞られ、その後、最終試験として粘土を用いた塑像を作ることになっておりました。そしてこれは例年通りであれば小動物がモチーフになるはずでした。

 

『それにしても……』

 

どうしても当時の僕は思ってしまっていたのです。今一番大事なはずのものが、一体全体、何でこんなにつまらないものなのだろうと・・・

 

 

 

 入学試験対策とはいえ、みんなで難しい顔をしてハトを囲む光景なんかは、何も知らない人が見たとしたら、まるであほというより他は無い感じなのです。特に当時の僕は今よりももっとストレートに

 

『俺は愛を形にしたいんだよ』

 

という人間でしたので、たぶん余計にそう感じていたのですね。

 

 

 

しかしながらその状況下の僕には、みんなでカメさんを囲んで難しい顔をしているような・・・そんなあほの様なものに懸けてみるしか「選択肢」というものは無かったのです。

 

レッドスターとハーケンクロイツ

 

僕と相棒のジムモリソン男は芸大試験でも受験番号が並びでした。同室は確定なので、ここでも互いにアドバイスをする約束をしました。

 

そして僕らはもう一つ作戦を考えていました。それは「過激な格好で周りをビビらせよう」というものでした。美大系の受験のデッサンの場所は抽選で決まるのですが、決まってからの微妙な位置取りが明暗を分けるのです。だからそのための作戦でした。

 

もともとジムモリソン男はソビエトが好きで、ソビエト国旗を模した赤いバッジやらボタンやらを沢山持っていました。

 

 

 

「俺はソビエトで行くからツノダ(ころまろの本名)はネオナチにすれば?」

 

今の倫理では信じがたい事に、当時はネオナチの鍵十字や鷲マークがミリタリーショップなどで堂々と売られていたのです。そしてそのドレスコードとしては

 

『ハーケンクロイツや親衛隊スタイルはダークファッションとしてOKだが、スキンヘッドまでやったら駄目』

 

などという、意味不明な基準が本当にまかり通っていました(マジです)。僕は鋲付きの帽子に鷲マークを付け、革コートのボタンをすべてハーケンクロイツに付け替えるという・・・現在だったら国際問題になりかねないような格好で、ジムモリソン男とともに初日の受験に挑んだわけです。

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芸大に入り二人でイカつい恰好でいる様は、なんというか「ダンプ松本の極悪同盟」という風情でしたね。意味なく目立っておりましたし、そんな受験生がいるというのもまた「美術系の受験」というやつなのでしょうね。

 


全女1985's 極悪同盟VSクラッシュギャルズ WWWA世界タッグ選手権60分3本勝負

 

 

しかしバチが当たる

 

しかし試験会場に入るときになって、僕らは想定外の事実を知ります。それは僕とジムモリソン男が「ちょうど部屋の分かれ目の受験番号」だったのです。そんなわけで僕らは別室となり「お互いにアドバイスし合う」という目論見は崩れてしまったのでした。

 

 

パジャント

 

ベルが鳴って試験開始十分前です。

寒い廊下で長々と待たされた、大なり小なり、それぞれにドラマを抱えているであろう受験生達は、ようやく教室に入る事になりました。前のほうでどよめきが起こります。モチーフはなんだ? 石膏像?

そこにはあったのは「パジャント」と呼ばれる石膏の胸像でありました。

 

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微笑みの貴婦人。思わず笑いが込み上げました。ふくよかな笑みを浮かべたこの彫刻。モチーフに女性的な繊細さを求める僕にとって、正に得意中の得意な石膏像なのです。

そして実際に僕ははその場において、分史上最高の石膏デッサンを描き上げました。初日(芸大の試験のみデッサンは二日間だった)が終了した時点で僕は勝利を確信しました。

 

 

予備校にて

 

初日を終えて予備校に戻ると、予備校の講師が「おう、良かったな。ツノダの好きな石膏じゃないか」と声をかけてきました。そしてしかし酷いモチーフだよなあ・・・まじめにやっている子がかわいそうだよ」とも言ったのです。まあ普通そう言われたら頭に来るところですが、僕は実際に『まじめにやっていた連中』も仲間でしたので、そんな講師の言葉に対して、あまり悪いようには感じませんでした。

 

意外な再会

 

2日目。威嚇する事の意味の無さを実感した僕らは、いたってフツーの(まあ周囲から観ればフツーじゃないけど)格好で2日目のデッサンに挑みました。

一晩おいて客観視した自分のデッサンは、どう考えてもその部屋で一番優れているものでした。

 

2日目は午前で終了でしたので、僕らはお昼に試験終え会場を出ました。そとでふらふら歩いていますと、冴えない男どもの輪の中から、ショートカットの女の子がこちらに向かって歩いてきました。当時人気のあった小比類巻かほるのようなルックス・・・どこかで見たような・・・

 

 

 

「あ!ムサビのときの!」

 

そうです。ムサビの試験のときに、デッサン室に一緒に入りそびれたあの女の子だったのです。

 

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女の子は

 「久しぶり!そっちは試験どう?」

と聞いてきました。

 

「ムサビが補欠でタマは落ちたよ」

と僕が言うと、その子は苦笑いを浮かべて

「私はタマビが補欠でムサビは落ちちゃった」

と答えました。

 

「じゃあ、一緒に芸大に受かろうぜ!」
「うん、そうなるといいね」

 

そう言って僕らは手を振って別れました。その光景を見ていたジムモリソン男は僕に言いました。

 

「なんだよツノダもやるようになったじゃん」
「いやいや、たぶんお前に汚染されたんだよ」

 


小比類巻かほる City Hunter~愛よ消えないで short Ver

 

この後は二次の塑像課題だけです。それを最低限度、無難にこなしてしまいさえすれば、僕はNONと共に歩んでいくはずの「約束の場所」に、確実に辿りつけるわけです。

 

僕は予備校に戻り、その日は遅くまで塑像の最終チェックをこなしました。

 

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